ヘルシンキのはずれにあるあたたかいカフェ

 

Cafe Scallion はヘルシンキの中心部から離れたところにある。

 

午後三時を過ぎると、街は急に冷える。

トイレは見つからないと心得ていたはずだったが

散策していた時、お腹が痛くなった。

そんな時、トイレ目当てで扉を開けたのがCafe Scallion だった。

 

そのカフェはトルコ人の男性とリトアニア人の女性が営んでいた。

オープンしてから1ヶ月もたっていなかったらしい。

私が日本人初のお客さんだったらしい。

おじさんは、どのくらい日本が好きか、を楽しそう話してくれた。

 

注文したケーキセットを食べ終え、帰ろうとした私に、

サーモンスープ食べる?とおじさんが聞いてきた。

もうすぐ閉店だけど、残っているから、と。

おじさんと横並びに座って食べた。

 

その日から、Cafe Scallion を訪れるようになった。

 

フィンランドの秋は暗い、悲しい、冷たい。

一人でいたいけど、誰かと話したいとき、私は、そこを訪れた。

おじさんはいつだって私を出迎えてくれたし、

女の人だって、ミルクと砂糖は必要ないことを覚えていてくれた。